A4版 700頁 上製本
定価 47,000円(本体価格)
ISBN978-4-9903713-0-2
C3050 \47000E
安全性や電波、可視光、X線にない特性、有用性を認識 |
テラヘルツは光と電波が交わる多種多様な技術・学問分野 |
情報通信・電気電子・宇宙環境・医薬医療・ナノテクノロジー・材料 |
A4版 700頁 上製本
定価 47,000円(本体価格)
ISBN978-4-9903713-0-2
C3050 \47000E
テラヘルツ波は、デバイス技術、システム技術が成熟した電波と可視光の間にあるにも関わらず、これらの技術が未だ十分に発展しきれてい ない電磁波の領域です。よく知られているように、テラヘルツ波の難しさは、物理的な理由に起源があるため、その克服は容易ではありませ ん。即ち、電波の側から、発振器や受信器等をマイクロ波・ミリ波より更に高周波化しようとすると、固体デバイス中の電子速度の限界が発振 器の出力や検出器の変換効率などを著しく低下させてしまいます。また、光の側から、赤外線よりも低周波化しようとすると、半導体レーザや 半導体検出器のテラヘルツ波に関わるエネルギー間隔が、室温に相当するエネルギーよりも小さくなり、電子の熱励起がレーザ発振や光子検出 を困難にしてしまいます。
電波領域や光・赤外領域に比べ、光源や検出器など基本的な要素技術の性能が低く、利用が容易でないことを指して、テラヘルツギャップとい
う言葉が用いられています。また,テラヘルツ帯においては、電波や光領域とは大きく異なる、材料やデバイス、システム構築が必要となり、
経験のある研究者、技術者にとっても、それらについての知識を十分に網羅し、活用することは、それほど容易ではありませんでした。
テラヘルツテクノロジー技術総覧は、既にテラヘルツテクノロジーに関わっておられる研究者や技術者、またこれからこの分野に参入しようと
される方々にとって、テラヘルツギャップを乗り越え、テラヘルツテクノロジーを活用する一助とするために、作製されました。
現在のテラヘルツテクノロジーは、主に遠赤外線、サブミリ波と呼ばれ、固体や分子の科学、核融合プラズマ診断や天体観測に利用されてきた
さまざまな技術の蓄積の上に、1990年代以降の超短パルスレーザによるテラヘルツ波発生・検出技術の発展、2002年に実現されたテラ
ヘルツ量子カスケードレーザなど、テラヘルツという呼称が一般的に使われるもとになった、量子光エレクトロニクスの新しい技術が加わって
構成されています。
1990年代以降のテラヘルツテクノロジーのブレークスルーを契機として、現在、危険物や違法薬物検査、半導体ウェハーやLSI、食品、
薬品などの非破壊検査、医療診断、災害現場のモニター、環境計測、超高速無線通信など、さまざまな応用が研究されています。今後これらの
テラヘルツの応用が着実に発展するためには、さまざまな分野の研究者や技術者が、テラヘルツテクノロジーについて容易に十分な知識を得
て、それぞれの分野に活用できるようになることが重要です。
本書は、産学官の連携を進めているテラヘルツテクノロジーフォーラムが中心となって編集を行い、長い歴史を持つ遠赤外線・サブミリ波の技
術から、近年の新しいテラヘルツ技術を含め、現在利用でき、かつ利用する価値のある、基礎知識、デバイス・要素技術、システム、科学と産
業応用、基礎データを網羅して解説します。本書が、テラヘルツテクノロジーに関心を持っておられる全ての方に活用され、役立つことを期待
しています。
テラヘルツテクノロジーフォーラム編
「テラヘルツ技術総覧」編集委員長
静岡大学 教授 廣本 宣久
編集委員会 | ||||
編集委員長 | 廣本 宣久 | 静岡大学 創造科学技術大学院 教授 | ||
副委員長 | 田中 耕一郎 | 京都大学大学院 理学研究科 教授 | ||
斗内 政吉 | 大阪大学 レーザーエネルギー学研究センター 教授 | |||
編集委員 | 浅田 雅洋 | 東京工業大学大学院 総合理工学研究科 教授 | ||
大谷 知行 | (独)理化学研究所 テラヘルツイメージング研究チーム チームリーダー | |||
尾辻 泰一 | 東北大学 電気通信研究所 教授 | |||
角屋 豊 | 広島大学大学院 先端物質科学研究科 教授 | |||
川瀬 晃道 | 名古屋大学 エコトピア科学研究所 教授 | |||
高橋 宏典 | 浜松ホトニクス(株) 中央研究所第11研究室 主任研究員 | |||
平川 一彦 | 東京大学 生産技術研究所 教授 | |||
寳迫 巌 | (独)情報通信研究機構 新世代ネットワーク研究センター 研究マ ネージャー | |||
南出 泰亜 | (独)理化学研究所 テラヘルツ光源研究チーム 研究員 | |||
執筆者 | 産・官・学 総勢90余名 | |||
MAIN CONTENTS | ||||
刊行にあたって | 廣本 宣久 | |||
第1章 テラヘルツ研究の歴史 | ||||
遠赤外光からテラヘルツ波へ | 阪井 清美 綱脇 惠章 |
|||
第2章 テラヘルツ波の基礎 | ||||
2.1 | 電磁波としてのテラヘルツ波 | 田中 耕一郎 | ||
2.2 | テラヘルツ波と物質との相互作用 | |||
2.2.1 | 光遷移のモデル | 田中 耕一郎 | ||
2.2.2 | 光学スペクトル | 芦田 昌明 | ||
2.2.3 | テラヘルツ領域に現れる物質の応答 | 芦田 昌明 | ||
2.3 | テラヘルツ波の発生 (プランク放射、電子運動による電磁波放射、レーザー、非線形光学効果による発生) |
四方 潤一 | ||
2.4 | テラヘルツ波の検出 | |||
2.4.1 | 光子検出,熱的検出および電波検出 | 廣本 宣久 | ||
2.4.2 | テラヘルツ検出器の雑音 | 廣本 宣久 | ||
2.4.3 | テラヘルツ波の検出限界 | 廣本 宣久 | ||
2.5 | テラヘルツ波の伝送 | |||
2.5.1 | アンテナ | 角屋 豊 | ||
2.5.2 | テラヘルツ伝送路 | 北川 二郎 | ||
2.5.3 | 準光学系 | 北川 二郎 | ||
2.5.4 | 大気伝搬 | 落合 啓 | ||
第3章 テラヘルツ光 源 | ||||
3.1 | 超短パルステラヘルツ光源 | |||
3.1.1 | 光伝導アンテナ | 阪井 清美 谷 正彦 |
||
3.1.2 | 半導体表面からのテラヘルツ波発生 | 斗内 政吉 鈴木 正人 |
||
3.1.3 | 非線形光学結晶によるテラヘルツ発生 | |||
3.1.3.1 | 無機非線形結晶 | 永井 正也 | ||
3.1.3.2 | 有機非線形結晶 | |||
(1) 有機非線形結晶 DAST | 吉村 政志 森 勇介 佐々木 孝友 |
|||
(2) 有機非線形結晶 BNA | 高橋 宏典 橋本 秀樹 |
|||
3.1.4 | フェムト秒レーザー | |||
3.1.4.1 | Tiサファイアレーザー | 高田 英行 | ||
3.1.4.2 | Nd:glass 1μmレーザー | 河仲 準二 | ||
3.1.4.3 | ファイバーレーザー | 大竹 秀幸 | ||
3.1.4.4 | 1μm超短パルスファイバーレーザー | 住村 和彦 中塚 正大 |
||
3.2 | 非線形光学 | |||
3.2.1 | パラメトリック発生・発振 | 川瀬 晃道 | ||
3.2.2 | 差周波発生 | 南出 泰亜 | ||
3.3 | 超高速オプトエレクトロニクス素子 | |||
3.3.1 | OE変換光伝導素子 | |||
3.3.1.1 | 光伝導素子 | 松浦 周二 | ||
3.3.1.2 | フォトダイオード | 伊藤 弘 | ||
3.3.2 | フォトミキシング | |||
3.3.2.1 | 光伝導素子によるテラヘルツ波発生 | 松浦 周二 | ||
3.3.2.2 | UTC-PDによるテラヘルツ波発生 | 伊藤 弘 | ||
3.4 | テラヘルツレーザー | |||
3.4.1 | 量子カスケードレーザー | 関根 徳彦 | ||
3.4.2 | p型Geレーザー | 寶迫 巌 | ||
3.5 | 固体電子素子 | |||
3.5.1 | ガンダイオード・インパット・タンネット | 浅田 雅洋 | ||
3.5.2 | RTD発振器 | 浅田 雅洋 | ||
3.5.3 | 逓倍器 | 鈴木 哲 | ||
3.6 | 電子管 | |||
3.6.1 | BWO(後進波管) | 三村 秀典 | ||
3.6.2 | スミス・パーセル放射光源 | 根尾 陽一郎 | ||
3.6.3 | ジャイロトロン | 出原 敏孝 | ||
3.7 | 高エネルギー電子 | |||
3.7.1 | シンクロトロン放射 | 清 紀弘 | ||
3.7.2 | コヒーレント放射 | 清 紀弘 | ||
3.7.3 | 自由電子レーザー | 滝川 誠 | ||
3.8 | 熱光源 | |||
3.8.1 | 黒体光源、グローバー光源 | 石井 順太郎 | ||
3.8.2 | 超高圧水銀灯 | 武田 三男 | ||
第 4章 テラヘルツ検出器 | ||||
4.1 | 時間領域テラヘルツ検出 | |||
4.1.1 | 光伝導アンテナ | 芦田 昌明 | ||
4.1.2 | EO結晶,MO結晶 | 萩行 正憲 谷 正彦 |
||
4.1.3 | 自己相関分光法 | 平川 一彦 | ||
4.2 | ショットキーバリアダイオード | 安井 孝成 | ||
4.3 | 半導体量子型検出器 | |||
4.3.1 | 不純物半導体光伝導型検出器 | 土井 靖生 | ||
4.3.2 | 量子井戸検出器 | 西野 弘師 | ||
4.4 | 熱的検出器 | |||
4.4.1 | ゴーレイセル・焦電型検出器 | 小田 直樹 | ||
4.4.2 | 冷却半導体ボロメータ | 土井 靖生 | ||
4.4.3 | アンテナ結合マイクロボロメータ | 安岡 義純 | ||
4.5 | 超伝導検出器 | |||
4.5.1 | SISミキサー | 王 鎮 | ||
4.5.2 | HEBミキサー | 王 鎮 | ||
4.5.3 | STJ検出器、TES検出器 | 有吉 誠一郎 | ||
第 5章 テラヘルツ光学素子 | ||||
5.1 | ウィンドウ | 碇 智文 | ||
5.2 | フィルター | |||
5.2.1 | レストシュトラーレンフィルター | 阪井 清美 | ||
5.2.2 | 結晶粉末フィルター | 阪井 清美 | ||
5.2.3 | メタルメッシュフィルター・干渉フィルター | 阪井 清美 | ||
5.2.4 | 誘電体多層膜フィルタ | 松本 直樹 | ||
5.3 | レンズ・ミラー | |||
5.3.1 | レンズ | 南出 泰亜 | ||
5.3.2 | ミラー | 南出 泰亜 | ||
5.4 | ビームスプリッタ | |||
5.4.1 | ビームスプリッタ | 藤井 高志 武田 三男 |
||
5.4.2 | ダイクロイックビームスプリッタ | 藤井 高志 | ||
5.4.3 | ワイヤーグリッド偏光子 | 藤井 高志 武田 三男 |
||
5.5 | グレーティング | 芝井 広 | ||
5.6 | テラヘルツ波ファイバー | 松浦 祐司 | ||
第 6章 テラヘルツ電子デバイス・集積回路 | ||||
6.1 | トランジスタ | |||
6.1.1 | HEMT | 末光 哲也 | ||
6.1.2 | HBT | 宮本 恭幸 | ||
6.2 | 半導体集積回路 | |||
6.2.1 | 半導体高周波アナログ集積回路 | 小杉 敏彦 | ||
6.2.2 | 半導体超高速ディジタル集積回路 | 村田 浩一 | ||
6.3 | 超伝導集積回路 | |||
6.3.1 | 単一磁束量子回路 | 藤巻 朗 | ||
6.3.2 | 単一磁束量子大規模集積回路 | 藤巻 朗 | ||
第 7章 テラヘルツ計測システム | ||||
7.1 | 測定器 | |||
7.1.1 | 周波数・波長測定 | 安井 武史 | ||
7.1.2 | 光オシロスコープ | 岩岡 秀人 | ||
7.2 | 分光器 | |||
7.2.1 | 波長掃引型テラヘルツ分光装置 | 碇 智文 | ||
7.2.2 | FT-IR(フーリエ変換分光器) | 大谷 知行 | ||
7.2.3 | テラヘルツ時間領域分光法(THz-TDS) | 萩行 正憲 谷 正彦 山口 真理子 山本 晃司 長島 健 松浦 周二 |
||
7.2.4 | 時間領域全反射分光法(TD-ATR) | 田中 耕一郎 | ||
7.2.5 | テラヘルツポンププローブ分光 | 永井 正也 | ||
7.3 | イメージングシステム | |||
7.3.1 | 走査型テラヘルツイメージング | 大谷 知行 | ||
7.3.2 | 分光イメージング | 大谷 知行 | ||
7.3.3 | 光ファイバ結合型時間分解分光イメージング | 斗内 政吉 井上 亮太郎 |
||
7.3.4 | CCDカメラを用いたテラヘルツイメージング | 深澤 亮一 | ||
7.3.5 | THz-QCL-二次元アレイ検出器 | Qing Hu | ||
7.3.6 | レーザーテラヘルツ放射顕微鏡(LTEM) | 斗内 政吉 村上 博成 Sunmi Kim |
||
7.3.7 | コンピュータトモグラフィ | 安井 武史 | ||
7.4 | 新しい計測技術 | |||
7.4.1 | 近接場分光・イメージング | 林 伸一郎 | ||
7.4.2 | 偏光センシング | 萩行 正憲 谷 正彦 長島 健 |
||
7.4.3 | 単一光子検出イメージング | 生嶋 健司 | ||
第 8章 テラヘルツの科学 | ||||
8.1 | 半導体 | |||
8.1.1 | 自由電子とテラヘルツ波の相互作用 | 平川 一彦 | ||
8.1.2 | 磁気光学効果 | 島野 亮 | ||
8.1.3 | 自由キャリアの超高速過渡応答 | Alfred Leitenstorfer | ||
8.1.4 | 半導体量子構造 | |||
8.1.4.1 | 半導体超格子とブロッホ振動 | 平川 一彦 | ||
8.1.4.2 | サブバンド間遷移 | 鵜沼 毅也 | ||
8.1.5 | プラズモン共鳴 | 尾辻 泰一 | ||
8.2 | 機能性材料 | |||
8.2.1 | 誘電体 | 武田 三男 | ||
8.2.2 | 超伝導/強相関電子系 | 斗内 政吉 村上 博成 貴田 徳明 高橋 宏平 |
||
8.2.3 | 表面モード | 永井 正也 | ||
8.2.4 | 金属細線導送路 | Daniel M.Mittleman | ||
8.2.5 | フォトニック結晶・メタマテリアル | 宮丸 文章 | ||
8.3 | 気体 | 松島 房和 | ||
8.4 | 液体 | |||
8.4.1 | 水と水溶液 | 田中 耕一郎 | ||
8.4.2 | 有機液体 | 山本 晃司 | ||
8.4.3 | イオン液体・溶液中の分子集合体 | 山本 晃司 | ||
8.5 | 単分子結晶・ナノマテリアル | |||
8.5.1 | 単分子結晶 | 永井 直人 | ||
8.5.2 | ナノマテリアル | A. Schmuttenmaer | ||
8.6 | 地球環境 | |||
8.6.1 | 大気観測 | 落合 啓 | ||
8.6.2 | 地球の熱収支 | 笠井 康子 | ||
8.7 | 天文学 | |||
8.7.1 | スペース赤外線天文学 | 中川 貴雄 | ||
8.7.2 | サブミリ波天文学 | 川邊 良平 | ||
8.7.3 | 宇宙背景放射 | 服部 誠 大田 泉 茅根 裕司 |
||
第 9章 テラヘルツの利用 | ||||
9.1 | 情報通信 | |||
9.1.1 | テラへルツキャリア通信 | 永妻 忠夫 | ||
9.1.2 | テラヘルツサブキャリア・光通信への応用 | 尾辻 泰一 川西 哲也 |
||
9.1.3 | テラビット級超大容量通信システム | 増田 浩次 | ||
9.1.4 | テラビット級超高速信号処理 | 和田 修 | ||
9.2 | 安全・安心 | |||
9.2.1 | テラヘルツイメージングの安全・安心応用 | 大谷 知行 | ||
9.2.2 | テラヘルツ分光の安全・安心応用 | 保科 宏道 | ||
9.2.3 | 郵便物非開披検査装置 | 佐々木 芳彰 | ||
9.3 | バイオセンシング | |||
9.3.1 | バイオセンサ | 田畑 仁 | ||
9.3.2 | バイオチップ | 北川 二郎 | ||
9.4 | 医療・薬品応用 | |||
9.4.1 | 医療・薬学応用 | 大谷 知行 | ||
9.4.2 | 医薬品の結晶多形 | 熊沢 亮一 | ||
9.5 | 工業応用 | |||
9.5.1 | 半導体ウェハー検査 | 深澤 亮一 | ||
9.5.2 | ポリマーナノコンポジット | 永井 直人 | ||
9.5.3 | 包装シール検査 | 川瀬 晃道 | ||
9.5.4 | LSI故障解析装置 | 山下 将嗣 | ||
9.6 | 農業応用 | |||
9.6.1 | 水管理 | 小川 雄一 | ||
9.6.2 | 農薬 | 小川 雄一 | ||
附 資料編 | ||||
テラヘルツ用語 | 齋藤 伸吾 | |||
テラヘルツ材料データ | 福永 香 | |||
索引 | ||||
編集後記 | 廣本 宣久 |